鶏口と牛後
ものの本によると、ブログの基本としては、一貫したテーマが必要だそうだ。
たとえば有名なブロガーでいうと、
ちきりん ー ゆる~く社会派
藤沢数希 ー 金融・恋愛工学
橘玲 ー 世の中の仕組み
イケダハヤト ー ソーシャルメディアマーケット
やまもといちろう ー 炎上ネタ
といった具合ですね。
まあこういったアルファブロガーの方々は既にブロガーとしてのタレントになっているので、ちきりんの書くブログは、ちきりんが書いたブログということで一貫したテーマになっているというトートロジーで皆みるので、こういったブログ界のサル山のアルファな方々のことは、いまさらながらブログ山に足を踏み入れるベータ・ブロガーにはあまり参考になりませんね。
橘玲によれば、読者に向けて「きみにふさわしい場所」ってことで、ニッチなところのトップを目指すべきとのことです。
(出典:『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』(幻冬舎))
なんでも、世界は2つの要素が折り重なった構造をしているらしく、ひとつがロングテール構造、二つ目がフラクタル構造。
ロングテール構造というのは、一握りの圧倒的勝者と、あまたの弱小プレーヤーがいるという構造。数人のガリバーと、無数の小人。
フラクタル構造というのは、全体とその一部が自己相似となっている構造。雪の結晶を虫眼鏡で拡大してみると、おなじ形の結晶の形をしているというものです。
この2つが折り重なった構造というのは、全体としてロングテールの構造があって、しかしこれを一部切り取ってみると、そこにもロングテール構造があるということです。
ブログにも同じことが言えて、数あるブログの頂点に立っているアルファブロガーはいるものの、ニッチなカテゴリには、そのカテゴリなりの小アルファブロガーがあるということです。
社会カテゴリはちきりん、金融カテゴリは藤沢数希、といったカテゴリごとのアルファブロガーがいると。当たり前の話や。
で、社会・政治・経済・金融といったメジャーなカテゴリは、才能とか運とか持ち合わせた方々が鎮座しておられるので、そういったデカい山には踏み入らず、もっとニッチな、もっとマニアックな山に踏み入れば、そこの山のボスになれる可能性が高いというのが、橘玲のいう「きみにふさわしい場所」ということだそうです。
しかしながらですよ、これは良く言えば「鶏口になるも牛後になるなかれ」、悪くいえば「お山の大将」に収まれってことですね。
もう十数年前から、グローバル化だのアジアの海ガメになれだの、書を捨て街へ出よだの少年よ大志を抱けだの、煽り文句が世に飛び交っているわけです。一方で、「きみにふさわしい場所」ですよ。高峰を目指すのか、近所の裏山に散歩するのかどっちがエエんやと。
知り合いに相談したとすると、高峰や!っていうマッチョと、裏山やねという仙人と、自由ややりたいようにやれやというリバタリアン、別に登らんでも落ち着くとこに落ち着くでという坊さんが登場しそうな気がします。
ぼくは平凡なサラリーマンでブログでメシを食っているわけではないので、坊さん路線で行きたい、いや行かざるをえないですね。山に登ることもできないし、また山に登る必要もない、ということです。
最近思ったのは、仕事の偉いさんが、「プロダクトアウトはあかんで、マーケットインや」とかいって、何ができるかではなくて、何が売れるかで考え始めよと気勢を上げておられましたが、往々にしてマーケットが「これが欲しいよ」って看板が出てるわけではなくて、「こんなんあるやん。めっちゃええやん」ということで売れるものもあるわけです。潜在ニーズというやつです。
その昔には「たまごっち」なる携帯ゲームがあってバカ売れしましたが、同時期にはプレーステーションというソニー製の鳴り物入りの32ビットゲーム機が存在していて、それに比べると、たまごっちというのは安物のデジタル腕時計に毛が生えたようなものだったわけですよ。当時のゲーム市場では、32ビット機で話題持ちきりで、そこに彗星のごとく「たまごっち」が登場したんです。32ビット機に比べれば時代遅れも甚だしいモノを作る(しか作れない)メーカーのものが売れたわけです。ゲーム市場を見渡しても着想されないものが売れたわけです。
結局プロダクトアウト・マーケットインどちらが正しいというわけではなく、何がつくれるか、何が売れそうかを相互にフィードバックしながら、おのおののできる範囲で作りこんだモノを市場に投入することになって、当たるもも八卦というわけです。
ブログでいえば、
プロダクトアウト → なにが書けるか
マーケットイン → なにが読まれそうか
この二つをフィードバックしながら中身を決めていくほかないということでございます。
その結果、高峰の3合目あたりで草くってるか、裏山の8合目あたりでクソしているか、はたまたどこぞの樹海で帰らぬ人となっているか、落ち着くとこに落ち着くんじゃないかと思いをめぐらせながら第2稿としたいと思います。